お部屋の神様(2)

こんにちはハリネズミ黄色い花

霊視経営コンサルタント桜賀和愛美です。

おとといぐらいに、師匠に珈琲を淹れてあげようとして

注げた丁度その時ぐらいに、左手に珈琲豆、

右手にポットでそのままくしゃみをしてしまいました。

 

し終わった後に目を開けたら丁度下を向いていて、

テーブルと師匠の珈琲が見えました。

まだ師匠は風邪をひいてないので大丈夫だと思います。

 

 

さて、表題の「お部屋の神様」本日は続きものとさせて

頂きまして、お部屋の神様Ⅱです。

 

 

 

 

これは桜賀和が20代半ばごろのお話なのですが、
当時85の祖父と2人暮らしをしていました。

 

 

 

と、いうのも、一人暮らしを始めたい私と、

高齢でままならない祖父の状況が合致しての

共同生活でした。

 

最初はワクワクしていたのですが、

少し前まで見ていた祖父とは違い・・・

思った以上に弱っていて、本当に「高齢者」という

言葉が当てはまる状態でした。

 

祖父は元々戦時中に産まれ、丁稚奉公に12歳で
出され、それ以来二度と親と会うことはなく

商船の船乗りになり、沈没や結核を克服しながら

戦後陸に上がり、「陸に上がった河童だった」と

本人が言うほど陸には慣れてない状態で

家族を養うために、東京のタクシー運転手をし、

仕事を掛け持ちし、勉強に勉強をして

不動産屋を経営し、結果朝日双光章という

天皇陛下から賞状を貰うほどの人物になりました。

 

質素倹約

貧しい者の味方をし、

自分に厳しく、

威厳に満ちた方でした。

 

「動きながら考える」

 

そう良く言っており、70を過ぎてもまだまだ

新しいパソコンを買って、エクセルなどを

駆使して仕事をバリバリやっていました。

 

ビジネスマンであり、

経営者でした。

 

一緒に住むか?と、70後半や80頃に親戚が言っても

首を縦にはふりませんでした。

 

それが、80過ぎてしばらくして一緒に住むか聞いたら

「いつ越してくるんだ?」

と言ったのです。驚きました。

 

先ほどの説明の通り、私の中ではせかせか動いて、

明朗に話す方だったので一緒に暮らし始めて

「そうか・・・」

と思うことが沢山ありました。

 

 

 

雷が鳴り始めて近くのスーパーに行った祖父を慌てて来るまで迎えに行ったり、

 

夜中に転んで、それが元で骨折をしてしまい。それ以来2階の私の部屋にいても

転んで大変な時の音とそうでない時の音を聞き分けて助けに行ったり、

 

朝起きたら大きな声が寝室から聞こえてきて、ケガを発見し対応して会社を遅刻したり、

 

これまた朝起きたら薬の副作用で顔がパンパンに腫れあがって病院に連れて行ったり

 

 

 

動くのがしんどくて、座ってることが多くなり、

体が痒くてしばらく掻いてあげますが、永遠掻けるわけでもなく

仕事があるから寝ろと言われて退室しますが・・・

 

部屋から出ると廊下に鏡があって、そこを見たら祖父が

どういう気持ちだったのかは分かりませんが、

とても寂しそうに私の背中を見ていたのが分かってしまい、

寝てからも、そして今でも、

 

 

 

 

もう少しできたのではないだろうか?

 

 

 

 

と、思ってしまったりします。

 

そんな時、祖父が病院に行っていない時や、部屋で寝ていてリビングにいる時。

 

部屋の感情が伝わってきます。

家と言ったほうが良いと思いますが、

 

 

 

「この家を建てた家主はそろそろ。私も共にある」

 

 

 

そう伝わってきます。

 

 

 

その家は祖父の持ち家で、彼が設計して建てたものでした。

正直、素人が設計するので動線が酷く、祖母は頻繁に

使いにくいとこぼしていました。

 

見るからに出そうな家だというのに・・・。

これがまた幽霊の一人も出ません。

土地柄的にもあんまりよくないはずなのですが・・・。

凄く家が家主たちを護っているようなのです。

 

 

 

その家は祖父が悪くなるごとに、気配が薄くなっていきました。

色が薄くなっていくような感じです。

 

 

 

家にも魂があり、そして家主と共に逝くことがあるのだと

私は少々半信半疑でした。

 

祖父はある日の夕方、様子がおかしくなり

救急車を呼ぶことになりましたが、家を出る前のトイレを促すと

「もう、動けないよ!」と言いました。

 

私が知る限り初めての弱音でした。

その瞬間

 

「祖父はこの家に居るのは今が最後だ」

 

 

そう思いました。

家も、家の中の家具もそれを悟った雰囲気でした。

 

救急車には娘である母が乗り、私は車で追いかけました。

病室に入り、祖父がこの病院は水を飲ませてくれない!と

怒っていました。が、本当は飲んで良かったようだったので、

母と母の兄がそのことを祖父に伝えますが、

 

耳が遠い・・・というよりは、今から思えばあの時祖父は

すでに少々魂が肉体から離れかけていたのだと思います。

耳元で大声で話しても聞こえず、更に怒っていました。

 

 

 

「もう最後まで一緒に住んでた愛美が話して!!」

 

 

 

と2人に言われて、低い声のおじがダメなら私もダメでは?

と思いながら

 

 

 

「おじいちゃん、お水飲んで良いってさ」

 

 

 

そう耳元で普通に言ったら

 

 

 

「なぁ~んだ。飲んじゃ駄目なのかと思ったよ」

 

 

 

と穏やかな、微笑みさえ浮かべる顔をしてくれました。

とても不思議でした。周りの人も全員不思議がっていました。

しかし、それが祖父との最後のやりとりでした。

 

病室から出て振り返ると、暗い部屋に祖父がベッドにポツンといて、

寂しそうな目でこちらを見ていました。

 

私は

 

 

 

「もう二度と会えない」

 

 

 

そう思いました。

 

 

 

疲れ果てて祖父の持ち家の駐車場に着いた瞬間、

目の前の家のリビングの灯りを見た瞬間、

生まれて初めて声を上げて号泣をしました。

 

 

 

普段あまり感情を出さなかったのですが、

家が悟っていて、私を優しく迎えてくれていた。

 

 

この祖父が付けた灯りの元に祖父が帰ってくることは

二度とない・・・。

 

 

そう思うと、車から出られず独りで泣き尽くしました。

 

 

2週間ぐらい経ったのでしょうか。

胸騒ぎがします。

会社に行かず家に居ました。

 

 

 

家もとても静かです。

沈黙しています。

 

 

 

すると母から危ないから一緒に病院に行くか?

と携帯に連絡が入りました。

 

私は間に合わないと分かっていましたが急ぎました。

 

 

 

そして、病院に着いたらやはり祖父は亡くなっていました。

最後が辛かったとはいえ、大往生だったと思います。

 

 

 

家に帰ってリビングに居ると

 

 

 

「逝きましたね。私も、もうそろそろ役目を終えます」

 

 

 

そう伝わってきます。

そろそろとはいつなのだろうか?

そう思いながらも、葬儀が行われ、

お墓に入り、そして仏壇が家に着ました。

 

 

 

広い2階建ての古い一軒家に、

私と仏壇と、お家の神様。

 

 

 

 

その時は、家が少し暖かく生気を取り戻しました。

フワッと気色ばんだのです。

 

 

祖父が居る感覚と、

家が最後のおもてなしをしている。

 

 

私は毎日お茶をあげたり、ご飯をあげたり、

たまにご飯を腐らせたりしながら

なんとか毎日やっていました。

 

 

そして、家は古すぎるので取り壊す話にやはりなりました。

前からそうなる話は出ていたので必然的に決まりました。

 

 

私も出て行かなければなりません。

 

 

家も最初からその覚悟をしていたようで、

そのことについては言ってませんでした。

 

 

 

「あなたがいるまでは」

 

 

 

そう伝えてきてくれました。

 

本当にありがたかったです。

 

家を壊すに伴い、仏壇を母の兄が自分の家に引き取る話になり、

仏壇が居なくなった日。

 

家は、無機質な家になりました。

 

 

 

そう言うと少し違う気がしますが、

暖かな空気がなくなり、静かになりました。

カタチ在るものがただ、最後の日を待つ。

 

 

そんな雰囲気です。

どこか遠くに、家の意思を感じていたので私が居なくなるまでは

護ってくれていました。

 

 

私が幼少から遊びに行き、祖父の晩年を看取った家は

無くなりました。

 

 

 

今は違う家が建っています。

また、気質の違う家です。

 

 

しかし、それでいいのです。

 

 

 

祖父もそうですが、魂は滅しません。

現に祖父は今もたまに現れては助言をしてくれることがあります。

 

私はその時のお家の神様、家具や物の付喪神たちを

想い、とても感謝する瞬間が何度もあります。

 

今の家もその時の祖父の家とは全く違う気質ですが、

凄く守ってくれているのを感じます。

 

 

 

 

家があるって、ありがたいです。

 

 

 

 

雨風がしのげて、暑さ寒さから護り、

私たちを堅固に優しく包んでくれています。

私たちを私たちたらしめてくれるお家。

 

 

 

私たちは生かされています。

今回は持ち家の最後ということで、取り壊されてしまいましたが、

 

 

 

引っ越しするときは綺麗に掃除して感謝を伝え、

日々心地よく過ごさせてくれているお部屋や家に感謝をし、

持ち家を買われた際は各部屋や家の中心のリビングに、

 

 

 

「よろしくね。一緒に過ごしましょう」

 

 

 

と、伝えてあげてください。

きっと、喜びます。

 

 

 

 

 

お部屋の神様(2)

桜賀和

 

 

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