令和元号の元「梅花歌三十二首と序」から見る日本人のエネルギーの高さと強さ

2023年10月6日 2023年10月6日 Tomono

令和の元号が発表された時、この「梅花歌三十二首と序」という歌の紹介がこぞってメディアが紹介をしていましたね。

「日本が持つ四季折々の自然や文化を、後世に残したい」や、
万葉集にはさまざまな階層の人々の歌が収められていることから、

「豊かな文化と伝統を象徴している」や、
「春の訪れを告げる梅の花のように、明日への希望と共に、一人ひとりが大きく花を咲かせられる日本でありたいとの願いを込めた」

ですとか、今まで中国古典から引用していた元号が、この度万葉集からというのは、大変喜ばしい事です。

さて、この元号の句の背景をもう少し深く見て、別の角度から見ると面白い事が分かります。
この句が読まれたのは九州の大宰府の長官である大伴旅人(おおとものたびと)の家であり、新春の宴会をした時だったのですね。
この頃の大宰府といえば何が行われていたか？

それは、「防人(さきもり)」という制度がありました。
国防の最前線だったのです。
そこに、全国から国を守る為に男たちが防人として出張していました。

この句の題はよく見ると、「三十二首」と「序」と書いてあります。
令和の元号はその序から取られており、俳句というよりは序章の説明のような歌から来ています。
その序は誰が詠ったかは書いておらず、その後は誰が読んだかが書かれており、三十二首が連なっていきます。

令和の元号となった序には主に、春の日本の風景と、美しい文化、女性たちの華やかさなどが書かれており、新春の祝いは無礼講でお酒を酌み交わし、梅園をテーマにして歌を読もうと思います。という内容が書かれています。

国防最前線の九州は、元寇の時にも壮絶な戦いをし、老いも若きも真っ先に命を散らしていった地です。
そんな国防最前線の地に、春が来た。
序では、その新春を祝い、お酒を飲み、歌を詠もうとなった。と説明をしているのです。
そして、その後の三十二首も勿論「梅園」がテーマですから、新春を祝い、新春の美しさを詠う句で満載です。

そう、誰も国防に対しての暗い話を持ち込んでいないのです。

美しい句達は、この美しい国を、美しい人々や文化を称えています。
自身が何を守ろうとしているのか、非常に具体的とも言えます。

能天気にしていたのではありません。
むしろ、国防のあるべき心持であり、精神的に高尚な会だったのです。

不平不満・愚痴などは、エネルギーを落とす行為なのですが、千年以上前の日本人の記述には、日本人のエネルギーの高さと強さが見えます。
日本は、このような日本人が多かったからこそ、日本という自然、日本という文化、日本人という人種が残れました。

何を胸に生きるか？何を口にし生きるのか？

今一度考えさせられる万葉集「梅花歌三十二首と序」
どのようなものか目を通してみられると、新たな発見があるかもしれません。